2023/12/11‐13 第1回勉強会(山口県宇部市、竹の搬出)

 令和5年12月11日~13日に、山口県宇部市の竹林で、マッシュプーリー木材搬出システムの勉強会が行われました。勉強会は、本システムの利便性や実用性を現地作業を通じて体験・理解して戴くものです。

 

 昨今、全国的に竹の繁茂が問題となっており、山口県も例外ではなく、県を挙げての対策が進められています。山口県は全国でも4番目の竹林面積を有し、岩国市は、嵯峨野(京都府)、揖斐川(岐阜県)とともに、日本3大美竹林の一つとして知られています。しかし、竹の需要が減り、管理されなくなった竹林が占領地を拡大しています。

 

 今回の勉強会を主催したのは、竹の伐採・供給者、加工・製造・販売者等が連携して竹資源の有効活用を促進し、山口県の森林環境の保全及び産業の振興に向けた取り組みを推める竹利活用プラットフォーム ”YAMAGUCHI Bamboo Mission" です。

勉強会には、県の農林関係職員はもちろん、企業の参加も有りました。

 

 山口県では、「やまぐち森林づくり県民税」を活用して、毎年80ヘクタール程度の繁茂竹林整備事業を行っていますが、今回の会場はその事業現場一つで、主催メンバーの一つである、山口県産業技術センターからほど近く、勉強会に適した比較的好条件の現場で、約1ヘクタール内の竹(約12,000本)を皆伐し、伐採された竹(径5cmほどの破竹)は、長さ4mに揃えられ、多くの棚となって、整然と並べられています。

 

 勉強会の内容が少し多岐に亘るため、項目に分けて、以下に示します。

 

1.機材配置

 ほぼ正方形の1ヘクタールの領域の2辺には、簡易アスファルト道路と土の農道がそれぞれ接しています。正方形の中心部には、深さ5mほどの谷が有ります。

 両道が交差する地点付近に駆動装置を設置しました。この地点には、アンカーとなるものが無いため、人工アンカー用ペグを10本打ち込みアンカーとしました。

 メインロープは、土の農道上を70mほど進み(この間に角材三脚を利用して基本マッシュプーリーを設置)、そこで90度曲進させて30mほど谷に向い、末端滑車を設置しました(末端滑車の少し手前に、角材三脚を利用して基本マッシュを設置。この地点で傾斜が変わるため)。末端滑車から谷の斜面上に、チルホール、バネ秤を設置し、末端のアンカーは、竹の切り株を利用しました。

 曲進点にはアンカーとなるもの無いため、角材に曲進マッシュを吊るし、補助ロープを利用してアンカーを取りました(曲進点付近に、苗木の植栽があったため、それを回避する必要からも、このような設置となりました)。曲進マッシュの内、下側ロープ用の滑車には重り(2kgを3個)を吊るし、曲進し易くしました。

(注:曲進マッシュを設置する場合、曲進点に、立木や竹が有れば、オープンスリングベルトを利用して、10分程度の作業で、曲進マッシュの設置が完了します。しかし、角材で曲進マッシュを吊る場合、慣れた人でも1時間程度、掛かります。このため、竹を伐採する場合でも、搬出時のアンカーとなりそうな位置の竹を残すことも推奨されます。つまり、竹の搬出も考慮して、竹の伐採を進めることを提案します。)

 

2.竹用キャップを用いた竹の搬送

 竹用キャップの口は、直径20cm超有るので、径5cmほどの竹は、一つのキャップに7本入ります。今回、竹用キャップを5個用意して、まず、キャップに竹3本づつ固定して搬送しました。5x3=15本の竹は、搬送途中に脱落することなく、すんなり搬送されました。

 気を良くして、4本づつ固定して搬送したら、5個のキャップの内、2個内の竹が脱落しました。よって、3x4=12本に減ってしまいました。参加されていた方々の意見でも、竹が乾燥していて軽いため(1本2kg程度)、凸凹した地面からの振動の影響を受け易いとのご意見でした。生竹か、4→8mであれば問題は解消されるかも知れません。また、固定方法に若干工夫を加えれば、解決することが期待されます(例えば、竹をオープンスリングベルトで巻いてキャップに入れる前に、竹4本の束の頭を、ガムテープで固定する。同様に、7本までの竹を、脱落しないように、ガムテープで固定する)。

 

3.ブルーシートを用いた竹の搬送

 竹の先端付近の枝葉は、細かいものになると、キャップに固定することが難しくなります。そこで、ブルーシートに包んで搬送することを考案しました。

 ブルーシート(1.8mx3.6m、2,000円程度)を用い、細かな枝葉を包んだ後、接合するフック穴をカラビナで固定します。フック穴の補強のため、ブルーシートの綴じ代を利用して、フック穴の外側隅に鉄棒(Φ4mm、長さ15cm)を挿入しました。また、筒の先端が円錐状になるように、フック穴の位置を一部変更し、オープンスリングベルト3本で引っ張る構造にしました。

 搬送結果は大変満足なもので、直径60cmほどに膨れた筒が、悠然と搬送されました。参加者からも、この方法で竹本体(長さ4m)も運べるのではとの発言が出ました。駆動装置の牽引力(設定200kg)からすれば、一度に100本の乾燥竹(4m)を搬出できる計算になります。搬送ライン上(幅1m)の突起物を取り除けば、ブルーシートは比較的強いので、現実的にも思います。

 

4.他社製品の利用

 勉強会3日目の午後には、他社製品の性能試験が有りました。

 

①農地での収穫野菜の搬出機

 畑で採れる野菜を搬出するための小型自走式台車で、竹の搬出にも利用できるかが試されました。まだ試作段階ではあるものの、地面が平な場合には、利用可能なものに思われました。

 

②竹割り機

 竹をチップにする場合、チップ機に丸竹を挿入すると、竹が乱雑に割れるため、竹の幹がかなり暴れ危ないので、予め、竹を割っておくのが良いと考えたものです。試験された竹割り機の性能は良好でした。また、チップにせず、集積された竹をトラックで搬送する場合、竹を割った形にすれば、トラック搬送時の体積を1/3程度に低減することができます。

  

③割った竹を束ねる機械

 割られた竹はバラバラな状態にあるので、バンドで束ねるものです。プラスチックバンドで、効率良く束ねられました。

 

④チッパー車

 翌日の試験であるため、見学はできませんでしたが、街中のゴミ収集車の後ろに、チップ化機能を備えた車両です。チップ化さてた竹は、そのまま、この車両で運び出されます。

 

 3日間の勉強会も終ってみると、天候に恵まれた幸運なものでした。1日目は小雨だったものの、天気予報よりは雨量が少なく、2日目は曇り、3日目は快晴でした。勉強会終了の3日後には、山口は雪になったそうです。

 参加者は3日間で30名ほどに上り、主催者の活動が広く理解されている証と思います。また、参加の方々に快く協力戴きました。

 東京に帰る道すがら、山陽、名神、東名の高速道路沿いの丘や山の竹を観察しながら走りましたが、頂上付近まで竹に侵食されているところも多く見かけました。砂に飲み込まれた古代都市のように、日本の野山は竹に飲み込まれつつあるようです(繁茂した密集竹林内では、山菜や立木も消滅します)。

 

注)YBMの活動とは趣旨は異なりますが、竹林の増殖を防ぐ方法として、竹林の面積が小規模な内に、タケノコが出る季節に毎年、タケノコの頭を鉈で飛ばすことが考えられます。4年も続ければ、その竹林域は消滅するそうです。成長した竹に対処するより、はるかに簡単な作業です。地域の勤労奉仕活動として勧められることを期待します。