令和3年12月18日、19日の土日に、愛知県豊田市の「とよた 旭 七森会」の森林環境整備活動に参加しました。当会には、半年ほど前にマッシュプーリー木材搬出システムを購入戴き、A材の伐採・搬出を始めています。
9月~11月にかけ択伐を進め、幹径16~30cm超のA材を200本準備しました。材の長さは、3m、4m、5.5mの3種類です。
地形は農道脇の小段の面積が狭く、傾斜約40度、高さ10mほどの急斜面が接近しています。急斜面を過ぎると、傾斜15度程度の緩斜面が続きますが、100mも登ると頂上に達します。
当地区(惣田町地区)周辺地形の特徴として、小規模な丘がポコポコと分布し、丘と丘の間に農道が走っています。これは、実用最大搬出距離200mのマッシュプーリー木材搬出システムを用いて材を搬出するのに、最適な条件となっています。つまり、新たに作業道を作る必要もなく、丘全体を守備範囲に納めることができます。
機材配置は、農道脇の小段に駆動装置を置き、急斜面基部近くに基本マッシュプーリーを架け、急斜面上端に曲進マッシュプーリーを架けています。ここで、急斜面上端に曲進マッシュプーリーを架けるのは、緩斜面上で搬送ライン方向が5度程度、緩く変化するためです。緩斜面上では80m超の直線となり、末端に末端滑車を置いています。搬送距離の全長は100mです。
さらに、特筆されることとして、次の事項が挙げられます。
① 張力を与えるチルホールを、駆動装置脇に置いている。駆動装置から出る上側メインロープを
横方向に引き込み、2台目の末端滑車(おたふく滑車でも良い)を付けて、チルホールで引っ張る。
これにより、駆動装置のドライバーが、張力の管理も容易に行うことができる。
(この時、メインロ-プには、付加した滑車からの内部抵抗が増えるので、抵抗の少ない滑車を
適切に設置する必要が有ります。)
② キャップ(スキッダーコーン)の材への取り付けは、従来の方法を変更し、荷掛けロープのみを
用い、荷掛け時間を短縮する。荷掛けロープには、キャップが外れるのを防ぐ金具が付いており、
金具をキャップの口元に寄せることができる。
③ 急斜面を下す際には、材の尻尾側に別ロープを結び、このロープの動きをポータラップで支える
ことにより、急斜面を下る材の動きを安定化させる。
④ 小段上の面積が狭く、駆動装置で材を最終地点まで牽引できないため、急斜面直下まで下した
材を、三角ハンドウインチで8mほどさらに牽引した後、小段下の最終集積地に転がし落す。
⑤ 2台のキャップを用い、材が急斜面直下まで下された時点で、空の状態で待機していたキャップ
を山頂側に返送し、三角ハンドウインチで牽引する間のタイムロスを無くす。
順調な搬送状態にするのに2日を要したそうですが、購入して日の浅い機材であることを勘案すれば、搬送時の効率の高さには驚かされる。作業に慣れた頃には、1時間ほどの間に、太くて長い材を10本程度すんなり搬送し、正味4時間の作業で30本ほどに達しました。
現場の方々の応用力は高く、努力と熱意に強く感心しながら、帰路に就きました。