曲進用マッシュプーリーを用いた搬出

 マッシュキャップと駆動装置のみを用いた搬送システムで曲進したい場合、これまでの曲進滑車が

使えないため、新たに曲進用マッシュプーリーを開発しました。

 曲進用マッシュプーリーは、これまでのマッシュプーリーを曲進用に改造したもので、

マッシュプーリーの底に付けられたロープガイド用の鉄製ヒゲの形状が異なるものです。

 これまでの曲進滑車をも代用できるだけでなく、次の利点を有します。

 

① 鉛直力を分担しない曲進滑車では、近傍にマッシュプーリーを設置して曲進滑車を補助する

 必要があったが、曲進用マッシュプーリーでは鉛直力も分担するため、単独で機能する。

② 曲進滑車では、メインロープを単純に水平方向に引っ張っていたため、メインロープが外れる

 可能性があったが、曲進用マッシュプーリーでは、メインロープを片持ち滑車内に抱え込むため、

 原理的に、メインロープが外れる要素がない。

 

 6月2日に、千葉県東金市の林内で検証試験を行いました。ここも平らな東金市とは言え、

搬送した木材は水分を多く含む杉材で、重量200kg(4m)に及ぶ、そこそこの難物です。

 用いた搬器は、マッシュキャップシステムでの曲進に適した「超小型搬器」と「中型搬器」です。

超小型搬器は、メインロープに1点で接合した最も単純な搬器で、中型搬器は、2点で接合する

とともに、重りとしての鉄棒が付いています。

 さらに、今回の工夫として、かなりの労力となる「横採り」作業を楽にするため、低コストの

「三角ハンドウインチ」も開発しました。アンカーは作業員自らの体重で、足元部に鉄杭2本を

打ち込みます。特別なアンカーが不要なため、設置場所を選びません。

 試験結果は上々で、横採り地点でマッシュキャップをセットされた材は、メインロープライン下

まで運ばれた後、メインロープの搬器に寸時で取り付けられ、曲進しながら効率良く搬送されます。

「新たな手法で、安全、低コスト、効率良く木材を搬出」を実現しています。