千葉県山武市は平らな台地の上に広がる農村地帯で、「山武杉」は銘木として名を馳せて来ました。誠に平らで、これまで山間急傾斜地で活動して来た者にとって、驚きの平らさです。
マッシュプーリーを導入戴いた千葉大学では、林野庁委託事業「木質バイオマスを活用したモデル
地域づくり推進事業」を進めており、「丸太燃料流通トータルビジネス」を目指しています。
マッシュプーリーは、木材搬出でその一端を担います。
当地域では、平成28年1月から2ヶ所の搬出作業を行いました。ひとつ目が千葉市緑区下大和田地区です。勾配0、残された木々は直線状に整然と並び、マッシュプーリー使用の初心者向けサイトとしてはベストでした。1回の講習を行っただけで、後は「キコリ」と称する地元の若者4、5人が週2回
ほどの搬出を行いました。2月上旬の作業終了日には、搬出距離60mで1時間に4m3の材を搬出
(新記録)するまでになりました。
ふたつ目の現場は山武市板中新田地区で、現場近くには露天風呂を有するオートキャンプ場
(有野実苑、全国人気ランキング6位)があります。この露天風呂には、千葉大学が開発した丸太を
燃料として使用する加温システムが導入されています。当現場では水路を横断しなければならず、
水路上に長さ5mの丸太3本を並べ、その上にベニア板を敷いて固定し、横断用の簡易橋としました。また、竹藪となった林地を迂回するためと、竹藪内も立木が少ないため、櫓10基を設置し
マッシュプーリーを吊るしました。搬送距離は全長100mほど(最大傾斜10度)で、途中80度曲進し、竹藪内の距離は約40mです。
2月29日には40名ほどの見学者を迎え、千葉テレビ、新聞社の取材も受けました。
櫓10基は壮観だったようです。見学会が終了して片づけを終るころ大雨になりましたが、宿舎に帰り
寛ぐころには、千葉テレビのニュースで「マッシュプーリー」の字幕入り映像が流れました。