特  徴

「マッシュプーリー木材搬出システム」の特徴を以下に記載致します。

 

【安全に】

機材が小型軽量

・高強度ロープを使用(破断荷重:3トン)

メインロープの架線張力が小さい(200kg程度以下)

・急な下り斜面では、自動的にエンジンブレーキが効き、安全を確保します

・リード線付きエンジンアクセル・非常停止スイッチ

メインロープが空中にあるので、地面を擦って消耗することがない

 

【効率よく】

機材搬入道が不要

・ロープだから軽便

・可逆駆動(搬器が自動返送される

曲進できる(最大90°)

谷(凹)地形にも対応できる

・効率的な搬送スピード(材牽引時:60cm/s、搬器返送時:90cm/s)

下げ荷(上げ荷も)ができる

・横引き(横採り)ができる

長距離搬送が可能(実用最大搬出距離:200m)

・必要人員が少ない(2名〜)

継ぎ足して延長したメインロープが使える

 

 

以下、特徴を写真とともに記載しました。

特徴1  搬器がマッシュプーリー(滑車)を通過します。

 マッシュプーリーは片持ち滑車2枚2組を対向させたもので、

その隙間を搬器の上端持具が通過します(搬出風景動画アーカイブ、

4. 搬器がマッシュプーリーを通過、参照)。

 木材の頭を搬器が吊っているため、片吊りで安全に、100m以上の距離を搬出できます。メインロープを複数のマッシュプーリーで

吊り、荷重を分散させているため、架線張力が小さく、致命的な事故

を未然に防ぎます。マッシュプーリーは、専用金具でサブロープに引っ掛けているだけなので簡単に取り外せ、

主要機材を容易に撤去・再設置できます(盗難防止)(映像マニュアル、1. 基本マッシュプーリー、参照)。

特徴2  「上げ荷」だけでなく、

                 「下げ荷」 ができます。

 林内上部に路網が無い場合でも、搬器に固定された木材が滑落することなく「下げ荷」で搬出ができます。

「下げ荷」の際の制動は、エンジンブレーキが自動的に効きます。

(搬出風景動画アーカイブ、1. 斜面傾斜40°、参照)

  重力を利用できるため、「下げ荷」の方が効率的です。

特徴3  搬出経路を曲げることができます。

 伐採実施後の林内で、保存木を回避しながら搬出経路を曲進滑車で曲げて、曲進することができます。

曲進限界は90度です。

(搬出風景動画アーカイブ、2. 曲進90°、参照)

 また、メインロープの経路から外れた木材も、

                                                                    ロープと固定滑車を搬器に継ぎ足すことで、「横採り」ができます。

                    (映像マニュアル、7.  横採り、参照)

               尚、その後の改良により、曲進は「曲進用マッシュプーリー」を用いて

                                               行います。また、「横採り」は「三角ハンドウインチ」を用いるのが簡単です。

特徴4 搬器を増やすことができます。

 搬器の数を増やすことにより、1回あたりの搬出量が向上します。

 搬器部分のロープは単体になっているので、

          簡単に搬器の増設ができます

特徴5  「前進」「後退」が可能な駆動装置す。

 搬器の「前進」と「後退」ができるため、搬器を人力で引き上げる必要がありません。

 「前進」と「後退」でスピードが1.5倍変わり、空荷の搬器を素早く返します(90cm/s)。

 駆動装置は、エンジン、ドラム部、架台の3つの部分に分離でき、

林道の無い林内は専用の大型ソリ(マッシュスレッド)で運び、

                     搬入後に合体されます。架台は組立て式です。

 ロープを継ぎ足すと、継ぎ足した部分がコブ(団子)になりますが、コブがマッシュプーリーや曲進滑車を通過できるので、ロープを継ぎ足して搬送距離の延伸が簡単にできます。 

 ロープの継ぎ足しは、誰でも現場でできる方法で行います。(映像マニュアル、6.  ロープの結合、参照)

尚、現在のところ、駆動装置のドラムにメインロープを複数回巻き、ロープが滑らないようにしているため、

コブは駆動装置を通過できません。よって、ループとなったメインロープの内、最低でも半分の長さ分は

コブのない状態である必要があります。

特徴6  専用キャップ(マッシュキャップ)が利用できる。

  本システムでは、マッシュプーリーの設置間隔を10m程度(標準)とし、安全のため、チルホールで与える張力を400kg以下(標準は350kg)に抑えています。このため、ひとつの搬器に対して材の重さが150kg程度を超えると、材の頭が上がらなくなります。

この場合、着脱容易な専用キャップを材の頭に装着し、地表の障害物を乗り越えることができます。専用キャップ装着時には、木回しと

上げスペーサー(動画マニュアル、 重い木材へのロープ掛け、参照)を用いると作業が簡単です。

 専用キャップを積極的に利用することにより、マッシュプーリーの設置台数を減らすことができ、設置作業労力および機材購入費用がかなり低減されます。(基本機材配置、その2、参照)

                 (Topics、キャップと可逆駆動装置のみによる搬出、参照)

 

性能の要点

 性能の要点をまとめると次の通りです。簡易なシステムとしては、優れた性能です。

① 搬出速度

            木材牽引時 60cm/s

            搬器返送時 90cm/s

② 最大搬出木材重量

                上げ荷   200kg(~300kg)

            下げ荷   400kg

③ 実用最大搬出距離

            200m

④ 最大曲進角度

            90°

 

 昨今、記録的な豪雨により、全国的に斜面崩壊が発生しており、路網(50m、30m間隔)を作って重機を傾斜地に入れることは困難になっているように思います。

傾斜地では、作業道を極力作らず木材を搬出できる本システムが、有力な搬出手段になると考えます。

 

その他、良くある疑問や質問に関しては、「Q&A」をご覧ください。