機材の設置・操作方法について、映像でご紹介します。
1. 基本マッシュプーリーの吊し方
①立木にオープンスリングベルトを巻き、
カラビナを付ける。
②カラビナにマッシュプーリー吊り具の補助ロープ
を掛ける。
同様にして、対向するもう一方の立木にも、
補助ロープの反対端を掛けます。
注)補助ロープを掛ける時には、4.補助ロープの掛け方に従うと、ロープ長の調整も簡単です。
③位置固定金具(ブタ鼻)と吊り具(カメレオン)
が所定の高さ、水平方向位置になるように調整
する。ブタ鼻には3つの穴が開けられており、
基本マッシュプーリーの水平位置の調整が簡単
です。
注)両端の立ち木間隔が狭く、オープンスリング
ベルトを用いる場合でも、オープンスリング
ベルトでカメレオンを吊る必要が有ります。
④基本マッシュプーリーを吊り具に引っ掛け、
吊るす。
注)吊り具(カメレオン)の頭には、ネジ付きの
アイボルトが付いており、メインロープが通されると、基本マッシュプーリーの向きが、搬送ライン
方向に自動的に向きます。
⑤全ての機材がセットされた後、メインロープを
通します。
注)ここで用いている補助ロープは
Φ=8mm
破断荷重=1.4トン
のスタティックロープに分類されますが、
通常のものよりしなやかです。 メインロープは、Φ=11mm、破断荷重=3トンです。
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2. 下引きマッシュプーリーの吊し方
①基本マッシュプーリーの④までと同様に、
吊り金具(カメレオン)に下引きマッシュプーリー
を吊します。
②下引きマッシュプーリーを下側からも引くために、
突起の付いた円盤の適切な位置に補助ロープ用の
フックを掛けます。
この補助ロープは、先の立木の根本に繋がれます
が、下引きマッシュプーリーが搬送ライン方向に
向くように、フックを掛ける位置を選びます。
③上記②により、下引きマッシュプーリーは
上下から吊られた状態になります。
④全ての機材がセットされた後、メインロープを
通します。
メインロープが下に引かれている様子が分かります。
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3. 曲進用マッシュプーリーの吊し方
アンカーとなる立木が近い場合
①立木にオープンスリングベルトを巻き、
カラビナを付ける。
②カラビナに曲進用マッシュプーリー(下)、
固定滑車(上)を掛ける。
アンカーとなる立木が遠い場合
①補助ロープを用い、2本の立木からアンカーを
取る。
②材通過時に曲進用マッシュプーリーの高さが低く
なる場合、次の写真のように、曲進用マッシュ
プーリーを支え棒で支える。
支え棒
(曲進用マッシュプーリーの高さを1.2mに維持します。)
金具で曲進用マッシュプーリーと連結されています。
支えているだけで、棒を地面に打込む必要はありません。
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4. 補助ロープの掛け方
補助ロープ末端を立木などに固定する、より簡単な方法です。
ロープを立木に直接かけると立木を痛めるので、立木にオープンスリングベルトを巻き、ベルトの末端にカラビナを付けた状態を準備します。このカラビナに、補助ロープを掛けることになります。
① 補助ロープ固定金具を用意する。
3つの穴が有り、左から1,2,3の順番とする。
② 穴1,2の順番でロープ末端を通し、
末端を立木などに掛ける。
③ ロープ末端を、穴3に通す。
この時、左の写真の形になるように、
穴を通す方向に注意する。
④ 穴1,2に通されたロープを浮かせ、浮かせてできた
穴 にロープ末端を通す。
⑤ ロープ回しは終ったので、ロープの位置を整え、完成。
ロープを強く引張って、緩みが生じないかチェックする。
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5. ロープの結合(その1)
メインロープの結合は次のように行います。現場でもできます。次項(6.)と組み合わせると、現場での結合
時間がかなり短縮されます。
① ロープの端をカッターで斜めに切る。切り口をターボライターで充分炙り、切り口を保護する。
② ロープの先端を60cm折り曲げて重複させ、先端に「輪っか」を作る。
③ ロープ重複部の間に厚手両面テープを貼る(画像には有りませんが、重複部が密着します)。
④ フィラメントテープを強く巻き、固定する(画像とは異なりますが、この方が丈夫です)。
⑤ テグス(30号)を充分強く巻き(往復)、固定する。
⑥ フィラメントテープを強く巻き、表面を保護する。
ここに示した結合方法(①~⑥)は作業時間を要するため、次項(6.)に示す「Tenexロープによるメインロープの結合」方法を考案しました。現場での結合時間が、1結合5分以下(3分)と極めて短くなります。
事前に、時間を掛けてメインロープ末端に「輪っか」を作ることがげきるので、「輪っか」の強度をさらに上げることもできます。
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6. ロープの結合(その2)Tenexロープによるメインロープの結合
前項(5.)に示した結合には時間が掛かるため、作業時間が制約される現場で行うには不向きな面があります。そこで、前項(5.)に従って、事前にメインロープの末端に「輪っか」を作っておき、現場では、メインロープ両端の「輪っか」を簡単に結合する方法を考案しました。
「輪っか」の結合に用いるロープはどのようなものでも良いですが、柔軟性があり丈夫な、Tenexロープ(緑色、Φ6mm、破断荷重1.5トン)がお勧めです。
映像に観るように、Tenexロープ 長さ75cmを使い、5分以下(3分)でふたつの「輪っか」が結合されます。Tenexロープに結び目を作るので、緩みません。搬送時に張力を受けても、Tenexロープにバランス良く力が加わるため、結び目は固くならず、搬出作業終了後、結び目をほどき、結合を解除できます。
よって、結び目を固く結ぶ必要はありません。
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メインロープのライン上にない材は搬送できません。ライン上にない材をライン上に移動させるのが「横採り」です。マッシュプーリーシステムの搬器を使って、次の手順で「横採り」します。
① ライン上の地面に、オーガー(穴掘り器具)をねじ込む。
② オーガーの支柱に固定滑車(A)を取り付ける。
③ 近隣の立木に固定滑車(B)を取り付ける。
④ 別途の牽引用ロープを固定滑車A,Bに通し、ロープの末端を搬器に固定する。
⑤ 搬器のウインチに、搬器を安定させるための重りとしての材(30kg程度)を吊るす。
⑥ 牽引用ロープの先端を横採りしたい材に固定する。
⑦ 駆動装置を始動し、「横採り」したい材をライン上に引き寄せる。
⑧ 以下、⑥、⑦の作業を繰返し、ライン上に材を集積する。
注)固定滑車Aがライン上にあるため、搬器はマッシュプーリーを通過できるので、
牽引距離の制約は基本的には生じません。
尚、横採りは、「三角ハンドウインチ」を用いて行うのも有効です。
Topicsの「2017/6/2 曲進用マッシュプーリーを用いた搬出」
「2020/7/24~26 第4回教習会」 をご覧ください。
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8. 重い木材へのロープ掛け
搬出する木材の重量が100kg程度を超えると、力のある男性でも、搬器のロープを木材に掛けるのが容易ではなくなります。つまり、搬器のロープを木材に掛けるには、木材の頭を持ち上げなければなりませんが、木材が重くなると木材の頭を持ち上げるのが大変になるのです。
そこで、重い木材の頭を容易に持ち上げられる次の手順を提案します。
① 搬出したい木材の横に、半台形斜面を有する木製スペーサー(以下、頭上げスペーサーと 呼ぶ)を置く。
② 木材を挟んで頭上げスペーサーの反対側に、木製の逆転防止くさびを置く。
③ 昔から大工道具として使われている木材を回転させる器具(木回し)を用い、搬出したい 木材を頭上げ
スペーサー方向に回転させる。「木回し」がない場合には、ただの棒で木材を テコの原理で回転させても
良い。
④ 逆転防止くさびを押し込みながら、搬出したい木材を頭上げスペーサーの上に載せる。これにより、搬出した
い木材の頭が地面から安定して離れたので、木材の頭に搬器のロープを簡単に掛けることができます。この方法
は、木材の頭にキャップ(マッシュキャップ)を付ける場合にも有効です。
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9.木材の棚積み(棚積みスロープ)
集材地点(土場)に充分なスペースが無い場合、集めた木材を棚積み(上に積み重ねる)必要が生じます。
山地内では平場が少なく、土場が狭いのが通例ですので、棚積みするのが一般的となります。
棚積みの高さは1m~2mにも及ぶため、棚積みは大変な労働であるとともに、危険を伴う作業です。
このため、林内作業車やポータブルウインチを用いて棚積みを行う場合が多いようですが、林内作業車は侵入道の無い林内へ入ることができません(グラップル等の重機も同様です)。一方、ポータブルウインチは有効なものの、アンカーとなる立木が都合の良い位置にあるとは限らず、固定滑車を工夫・利用して、牽引用ロープの作用
位置を調整しなければなりません。
そこで、「棚積みスロープ」と「三角ハンドウインチ」を用いた方法を提案します。
①木材の重さが100kg程度以下の場合
1)木材を載せたい棚積み塊の端に「棚積みスロープ」2本を掛け、それぞれの基部に鉄杭を打ち込んで
固定する。
2)棚積みしたい木材をスロープの下端まで転がして運ぶ。
3)木材の一端を、スロープを利用してトビで引き上げる。
4)「棚積みスロープ」には50cm毎に穴が開けられているので、穴に鉄杭を差し込んで、木材を一端休ませる。
5)木材の他端を、3)、4)と同様に引き上げる。
6)上記、3)~5)を繰り返し、木材を棚上に載せる。
7)棚上に載った木材は、棚上を転がすことができる。
②木材の重さが100kg程度を超える場合
1)木材を載せたい棚積み塊の端に「棚積みスロープ」2本を掛け、それぞれの基部に鉄杭を打ち込んで
固定する。
2)スロープの地面側先端位置に、「頭上げスペーサー」2本を置く。
3)棚積みしたい木材を転がして運び、「頭上げスペーサー」の上に載せる。
4)木材が「頭上げスペーサー」上から転がり出ないよう、「逆転防止楔」を木材の下に挿入する。
5)木材の両端それぞれに、「木材を引掛けるためのロープ」を巻く。
6)棚積み塊の他端側に置かれた2台の「三角ハンドウインチ」から牽引ロープを引き出し、
「木材を引掛けるためのロープ」の輪に、牽引ロープ先端のカラビナを付ける。
7)木材の一端を、スロープを利用して「三角ハンドウインチ」で引き上げる。
8)「棚積みスロープ」には50cm毎に穴が開けられているので、穴に鉄杭を差し込んで、木材を一端休ませる。
9)木材の他端を、7)、8)と同様に引き上げる。
10)上記、7)~9)を繰り返し、木材を棚上に載せる。
11)棚上に載った木材は、棚上を転がすことができる。
以上のようにして、安全で容易に棚積み作業を進めることができます。木材がさらに重い場合
(例えば200kg以上)でも、長い「棚積みスロープ」を製作して使用すれば、無理の無い作業ができます。
「三角ハンドウインチ」は作業員自らの体重がアンカーとなり、設置場所を選ばないので大変便利で、
しかも超低価格です。保管時には折りたたまれ、収納スペースを取りません。