トラブル防止 基本マッシュプーリー
基本マッシュプーリーは、メインロープが地面に接するのを防ぐために設置します。メインロープが地面に
接すると、メインロープが損傷します。
よって、メインロープが地面に接することが無ければ、メインロープの直線区間がいくら長くても、
基本マッシュプーリーを設置する必要は有りません。
このことから、基本マッシュプーリーは、主に、地面が凸に変化している凸地点頂部付近に設置されることに
なります。
現地で散見されたトラブルの例は、次のものです。
① 直線区間長が長く、メインロープの高さが2m程度となる地点に基本マッシュプーリーを設置したため、
材通過時には、搬器が高さ2m近くまで上がらなけならず、搬器の通過にかなり無理が生じた
(搬器がスムーズに通過しない)。
搬器がこの区間にない時には、メインロープが基本マッシュプーリーの高さを若干越えたため、メインロープ
が基本マッシュプーリーの滑車部にぶら下がらず、基本マッシュプーリーのフレーム上端を擦る状態となった
(メインロープが基本マッシュプーリーのフレームを擦ると、メインロープが損傷する)。
この場合、基本マッシュプーリーが不要で、トラブルの原因となるだけです。
② 曲進角度が5度程度と小さいため、基本マッシュプーリーで曲進させようとしたが、搬器が通過できない
状態が頻繁に生じた。
曲進角度が小さくても、基本マッシュプーリーの重さは5kg程度と軽く、横方向に引張られ、真下を向かない
ため、下を向かせようと基本マッシュプーリーを強制的に固定したことも問題を大きくしました。
基本マッシュプーリーは自由な状態の時、最適な機能を発揮しますので、無理に固定すると、メインロープ
からの作用力に適切に対応できず、メインロープが脱線し易くなり、搬器が通過できません。
曲進角度が小さい場合でも曲進用マッシュプーリーを利用する必要があります。
「トラブル防止・曲進用マッシュプーリー」を参照ください。
③ 基本マッシュプーリーを吊る際に、吊り具(カメレオン)を用いることなく、オープンスリングベルトだけで
安易に吊ったため、基本マッシュプーリーがメインロープのライン方向を向かず、搬器の通過に支障が生じた。
吊り具(カメレオン)にはアイボルトが装着されており、このボルトの回転により、基本マッシュプーリーの
方向を自動的に最適化するので、吊り具(カメレオン)を用いて基本マッシュプーリーを吊る必要が有ります。
これは、下引きマッシュプーリーを吊る場合も必要になります。
④ 基本マッシュプーリーが、メインロープのラインから外れる位置に設置されたため、搬器の通過に支障が
生じた。
メインロープのライン上に設置する必要が有ります。下引きマッシュプーリーを吊る場合も同様です。
注)直線区間に、材の横流れが発生する地形がある場合、基本マッシュプーリーをその地点に設置することも
考えられますが、上記②の問題が発生し易いので、横流れが発生する地点に、搬送ラインに沿って間伐材を
並べ、横流れ防止のガードレールを設けるのが、簡単で確実な対策と考えられます。